
【イベントレポート】“壊す”前に“活かす”!——東京建物が挑む「ビル終活」と防災訓練の新常識

2025年7月3日、渋谷の解体予定ビルにて、東京建物株式会社が主催する実践型消防訓練の見学会が開催されました。
老朽化ビルの「最後の役目」として、命を守る防災拠点へと昇華させる -そんな未来志向の取り組みに、多くのメディア関係者、防災関係者が集まりました。
今回は、“稼働中では不可能な訓練”が実施可能な解体前ビルという特性を最大限に活かし、首都直下地震を想定したリアルな消防訓練が展開!その模様を臨場感たっぷりにお届けします!
解体ビルが“実践訓練フィールド”に変貌!
訓練会場となったのは、渋谷2丁目にある東建インターナショナルビル。解体が決まっているこのビルを、防災レジリエンス向上のフィールドとして活用するのが、東京建物が掲げる「ビル終活」プロジェクトです。
当日のスケジュール
- 放水訓練(消防隊・自衛消防隊の合同対応)
- エレベーター内閉じ込め想定訓練
- 非常用階段避難車の操作訓練
- 地下発煙・排煙設備作動訓練
- 屋内消火器を使った初期消火訓練
- 区画内への消火薬剤充満実験(午後実施)
これらは通常のオフィスビルではテナントへの影響を考慮し実施が難しいものばかり。それが今回、解体前という特殊な環境を活かして実現されました。





老朽化と震災リスクが重なる「2025年問題」に対応!
現在、日本では1981年以前に建築された旧耐震基準ビルが数多く残っており、今後30年以内にこれらの建物が一斉に寿命を迎えると予想されています。
しかも、内閣府の発表によれば、今後30年以内に首都直下型地震が発生する確率は約70%!建物被害は20万棟近くに及び、経済損失は47兆円、人的被害は750万人を超えると試算されています。こうした背景の中で、東京建物が推進する「ビル終活」は、解体までの“空白期間”を活用して、人命を守るための最後の貢献を実現する取り組みなのです。
官民連携による実践訓練で“レジリエンスの可視化”を!
今回の訓練には、以下のメンバーが連携して参加しました。
- 渋谷消防署
- 地域消防団
- 東京建物自衛消防隊(女性メンバー3名)
- 東京不動産管理自衛消防隊
それぞれの隊員が、現場さながらの緊張感をもって真剣に訓練に臨む姿が印象的でした!特に、煙の充満や実際の避難経路を想定した動きは、見学者にとっても非常にリアルな学びとなりました。
東京建物 ビルマネジメント第二部長・安井崇氏は、「解体前の建物が、単なる“廃棄物”で終わるのではなく、“価値ある空間”として地域防災に貢献できる。その発想こそが、都市の未来のあり方を変えていく」と力強く語りました。
解体=終わりではない。「ビル終活」という新提案。
実は、東京建物はこれまでにも「ビル終活」を実践してきました。2025年1月には代官山の解体予定マンション一棟を活用し、アートイベント「アートゴールデン街」を開催。その記憶を「美しさ」として残す取り組みは、多くの注目を集めました。
今回はその「終活」に“命を守る視点”を加えたアップデート版!
ビル解体に新たな社会的意義を持たせる -それが、これからの都市づくりのキーワードになるのかもしれません。
編集後記:価値ある解体が、都市の未来を守る。
都市の高層化・老朽化が進む中で、「解体=終わり」とする時代はもう終わったのかもしれません。
「最後の一日まで価値を生む」-それが東京建物が打ち出す“ビル終活”なのではないでしょうか。
本取り組みは、首都直下地震など将来の災害リスクに向けた、極めて実践的かつ現実的な対策で
報道陣含め参加者たちは、解体ビルで行われる本格訓練を通じて、“災害に強いまちづくり”の可能性を感じ取ったことでしょう。
「壊す前に、活かす!」
そんなビルの新しい使命に、私たちも注目し続けたいと思います!
※東京建物「ビル終活」参考URL:https://tatemono-dam.jp/gl/3b2m498tid/
※東京都「首都直下地震等による被害想定」:https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1000902/1021571.html